珈琲が日本に渡ってきたのは19世紀末。
長崎に初めて来ました。
それから珈琲文化はどんどん進化していきます。
はじめはなかなか日本の文化になじめなかった珈琲ですが、少しずつ浸透していきます。
〇ファーストウェイブ
19世紀から20世紀末まで、少しずつ珈琲文化が広がり始め、だんだんと喫茶店から家庭へと。
・喫茶店の広がり。(今は『純喫茶』と呼ばれています)
・インスタントコーヒーの流行。
・珈琲豆の品質はお世辞にも良いとは言えなかった。珈琲豆の種類も、国名だけが記載されていた。
〇セカンドウェイブ
20世紀末から2000年頃まで。
・アメリカ発信のシアトル系コーヒーが世界中で流行。深煎り、エスプレッソベースの珈琲。
・まだ珈琲豆の品質は良くなく、深煎りにして低品質をごまかしていた風潮があった。
・そのため、「深煎りの珈琲を飲むのが大人の味」と勘違いしてしまうことも多々あった。
〇サードウェイブ
2000年頃から現在。
・珈琲豆のトレーサビリティー(品質管理、農家・農園の努力、貿易の進化)が高まったことで、高 品質な珈琲豆が手に入るようになった。
・高品質な珈琲豆の輸入ができるようになり、浅煎り~中煎りで、豆の個性を楽しむ時代へ。
・珈琲豆の表示も、国名ではなく、農園がつけた名前で。
こういった流れがあり、現在の珈琲は進化を続けています。
珈琲豆の品種は、ブルボン、カツーラ、カツアイ、マラゴシッペ、ゲイシャなど、200種類以上あると言われていますが、同じ品種でも、農園の違いで全く違う味に仕上がります。
日本で言うと、お米に例えたらわかりやすいでしょう。
「日本米」とだけ表示されたお米は買おうと思いますか??
日本にはコシヒカリ、ナナツボシ、アキタコマチ、ひとめぼれ…などたくさんありますよね。
そして、同じコシヒカリでも、どこの都道府県が産地か、もっと言えば、どこの農家産なのか?
同じコシヒカリでも味わいは全く違うものになります。
珈琲豆も同じなのです。
同じゲイシャ種でも、どこの国か、どこの農園かで味や香りが全く違ってきます。
産地国で言えば、同じブラジルでもたくさんの品種、農園があります。
当店でもブラジル産の珈琲豆は4種類取り扱っています。(現在は5種類)
それぞれ味が違うのです。
ですので、「ブラジルください。」と言っても、どの豆のことを言っているのかわかりません。
「ブラジルの〇〇をください。」と言わないとわからないです。
今はそういう時代に入って、もう20年以上入っているのです。
また、焙煎も変わり、深煎りの珈琲豆から浅煎りの珈琲豆で、豆の個性(味、香りなど)を楽しむようになりました。
あんまり深煎りすると、個性はなくなり、どの豆も同じような苦い味しかしません。
苦いコーヒーが好きだというのは個人の好みですが、各々の珈琲豆にはちょうどいい焙煎があるのです。
浅煎りで香りが立つ珈琲豆もあれば、中煎りで甘みを出す珈琲豆もあります。
当店では、どの豆もお客様の要望通りに焙煎しますが、「焙煎はおまかせで!」と言われると、その豆の特徴が出るちょうどいいところで焙煎します。
また、「酸味はいらない。」と言うお客様が多いのですが、新鮮な珈琲豆の酸味は、フルーティーな香りとスッキリとしたアフターテイストを出してくれます。
そして、酸味のない珈琲豆はないのです。
珈琲豆はコーヒーチェリーという果実の種子なのですから。
その豆によって酸味のタイプが違います。
柑橘系の酸味もあれば、アップル、ベリーのような酸味もあります。
有名なところで言えば、値段も高いゲイシャ。
ゲイシャを深煎りする焙煎店はないでしょう。(実は札幌のとある名店ではやってました)
もしあったら、「素材殺し」をしていることになります。
ゲイシャは浅煎りで香りと余韻を楽しめる豆です。そこに価値があります。
それでも「酸味はいらない」と言う人もいるでしょう。
そこは好みの問題です。
ゲイシャなんて好みじゃないでしょう。
ただ、僕が言いたいのは、その豆の個性を楽しんでほしいということです。
そして、その中から自分の好みをみつけてほしいということです。